ニホンイシガメは日本固有のカメとして知られ、近年は「ニホンイシガメ 飼育 禁止」という言葉を目にして、不安や疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。
「見つけたら飼ってもいいのか」「天然記念物なのでは?」「そもそも販売は合法なのか」など、情報が錯綜しやすいテーマでもあります。
結論から言えば、ニホンイシガメの飼育は一律で禁止されているわけではありません。しかし、野生個体の扱いや採集、販売には法律や自治体のルールが関係し、誤った行動を取ると違法となる可能性もあります。正しい知識を持たずに行動することは、個体だけでなく種全体の保全にも悪影響を与えかねません。
本記事では、ニホンイシガメの飼育が「禁止」と言われる理由を整理しつつ、
- 飼っていいケース・注意すべき法律
- ニホンイシガメを見つけたときの正しい対応
- 見分け方や飼育環境、餌の基本
までを、爬虫類飼育の視点から分かりやすく解説します。
ニホンイシガメと正しく向き合うために、まずは事実から確認していきましょう。
- ニホンイシガメの飼育は禁止されているのか?結論から解説
- 「イシガメは天然記念物」という情報は本当?誤解されやすいポイント
- ニホンイシガメは飼っていい?法律・条例・環境省の考え方
- ニホンイシガメの販売は合法?ペットショップ・個人売買の注意点
- 野生のニホンイシガメを見つけたらどうする?やってはいけない行動
- 保護・通報が必要なケースと、そっと見守るべきケースの違い
- ニホンイシガメの見分け方|クサガメ・外来種との違い
- 写真で確認したいニホンイシガメの特徴と識別ポイント
- 飼育する場合の基本条件|屋内飼育は可能?必要な設備
- ニホンイシガメ飼育レイアウトの考え方と環境づくり
- ニホンイシガメの餌|自然下の食性と飼育下での与え方
- 与えてはいけない餌・注意すべき給餌トラブル
- ニホンイシガメ飼育が問題視される理由と保全の現状
- 飼育者としてできるニホンイシガメ保護への向き合い方
- まとめ|ニホンイシガメの飼育は禁止ではないが、慎重な判断が必要
ニホンイシガメの飼育は禁止されているのか?結論から解説
「ニホンイシガメの飼育は禁止されている」という情報を見かけ、不安を感じる方は少なくありません。
しかし結論から申し上げると、ニホンイシガメの飼育そのものが全国一律で禁止されているわけではありません。
現在、日本国内においてニホンイシガメは
- 特定外来生物
- 国指定の天然記念物
いずれにも該当していません。
そのため、適法に入手された個体を飼育する行為自体は、直ちに違法とはなりません。
ただし、問題となるのは「どのようにしてその個体を入手したか」です。
野生下のニホンイシガメは個体数が減少傾向にあり、地域によっては条例や自然保護規定により、採集・捕獲・持ち帰りが制限されている場合があります。
つまり、
- ペットとして飼うこと → 原則禁止ではない
- 野生個体を捕まえて飼うこと → 違法となる可能性がある
という点を混同してしまうことが、「飼育禁止」と誤解される大きな原因です。
「イシガメは天然記念物」という情報は本当?誤解されやすいポイント
インターネット上では、「イシガメは天然記念物だから飼えない」という情報が見られることがあります。
しかし、この認識は正確ではありません。
ニホンイシガメは、国の天然記念物には指定されていません。
一方で、地域によっては以下のようなケースが存在します。
- 特定の生息地が天然記念物に指定されている
- 自治体独自の保護対象生物に指定されている
この場合、「その場所に生息するニホンイシガメ」を捕獲・移動させる行為が問題となります。
その結果として、「イシガメ=天然記念物=飼育禁止」という誤った情報が広まってしまうのです。
また、同じ日本産のカメであっても、
- クサガメ
- 外来ミドリガメ
などとは扱いが異なるため、種の見分けがついていない状態で判断してしまう点も注意が必要です。
重要なのは、ニホンイシガメは保護の必要性が高い在来種であり、安易な捕獲や飼育が推奨される存在ではないという事実です。
法律上の可否だけでなく、保全の観点からも慎重な判断が求められます。
ニホンイシガメは飼っていい?法律・条例・環境省の考え方
ニホンイシガメを「飼っていいのかどうか」を判断するうえで重要なのは、国の法律・自治体の条例・保全上の考え方を切り分けて理解することです。
まず、国の法律レベルでは、ニホンイシガメは
- 特定外来生物法の対象ではない
- 鳥獣保護管理法で一律に捕獲禁止とされている種でもない
このため、適法に入手された個体を飼育する行為自体は、法律で明確に禁止されているわけではありません。
しかし、注意すべきなのは「野生個体の扱い」です。
ニホンイシガメは環境省のレッドリストにおいて、地域によっては減少が著しい在来種として位置づけられています。そのため、多くの自治体では以下のような対応が取られています。
- 野生動物の捕獲・持ち帰りを禁止または制限
- 公園・河川・保護区域での採集禁止
- 生態系保全を目的とした条例による規制
この場合、「飼育が禁止」なのではなく、捕獲や移動の段階で違法となる可能性がある点が重要です。
環境省としても、ニホンイシガメについては
「安易な捕獲や飼育を推奨しない」
「野生個体は本来の生息地で守るべき存在」
というスタンスを取っており、法律的に可能であっても、保全の観点から慎重な対応が求められている種だと言えます。
ニホンイシガメの販売は合法?ペットショップ・個人売買の注意点
次に気になるのが、「ニホンイシガメの販売は合法なのか」という点です。
結論から申し上げると、販売行為そのものが全国一律で禁止されているわけではありません。
ただし、ここでも重要になるのは「個体の由来」です。
合法とされる可能性があるのは、主に以下のケースです。
- 繁殖個体(CB個体)として流通している場合
- 正規ルートで仕入れられ、販売履歴が明確な場合
一方で、問題となるのが
野生個体を捕獲して販売する行為です。
これは、多くの地域で条例違反や自然保護規定違反となる可能性が高く、違法販売につながります。
個人売買やフリマアプリ、SNS上では、
- 捕獲場所が不明
- 野生由来か繁殖個体か分からない
といったケースも見られますが、購入者側であっても、違法な取引に関与したと判断されるリスクがゼロとは言えません。
そのため、ニホンイシガメを検討する場合は、
- 「販売されている=飼って問題ない」と判断しない
- 繁殖個体であるか、説明が明確かを確認する
- そもそも飼育が本当に必要かを考える
といった姿勢が重要です。
野生のニホンイシガメを見つけたらどうする?やってはいけない行動
川や田んぼ、用水路、道路脇などでニホンイシガメを見つけた場合、「保護したほうがいいのでは」「このままでは危険なのでは」と感じる方も多いでしょう。
しかし、善意であっても取ってはいけない行動がある点には注意が必要です。
まず、原則として覚えておきたいのは、
野生のニホンイシガメは“拾わない・持ち帰らない”ことが基本だという点です。
ニホンイシガメは本来、その場所の環境に適応して生活している野生動物です。
一見弱っているように見えても、
- 日光浴をしている
- じっと動かず休んでいる
- 産卵前後で動きが鈍くなっている
といったケースも多く、人が手を出す必要がない場合がほとんどです。
やってはいけない行動として、特に注意したいのは以下です。
- 「かわいそうだから」と自宅に連れ帰る
- 種類が分からないまま飼育を始める
- 別の川や池へ移動させる
これらの行為は、自治体の条例違反となる可能性があるだけでなく、生態系の攪乱や個体の死亡につながるリスクもあります。
保護・通報が必要なケースと、そっと見守るべきケースの違い
一方で、すべてのケースで「何もしない」が正解というわけではありません。
状況によっては、人が関与したほうがよいケースも存在します。
比較的、対応が必要とされやすいのは次のような場合です。
- 明らかに車道の中央にいて轢かれる危険が高い
- 人工構造物(側溝・排水口など)に落ちて自力で出られない
- 釣り針や糸が絡まっているなど、人為的な事故が原因の場合
このような場合は、元いた方向へ安全に移動させる、もしくは自治体・動物管理窓口に相談することが適切です。
逆に、以下のようなケースでは、基本的に見守る判断が推奨されます。
- 水辺で自然に生活している
- 日光浴や産卵行動と思われる様子が見られる
- 健康そうで外傷が見当たらない
「助けたい」という気持ちが、結果として個体や種全体に悪影響を及ぼすこともあります。
ニホンイシガメを見つけた際は、“触らないことも立派な保護”であるという認識が大切です。
ニホンイシガメの見分け方|クサガメ・外来種との違い
ニホンイシガメは、見た目が似ているカメが多く、正確に見分けられていないまま飼育・保護されてしまうケースが少なくありません。
特に混同されやすいのが、クサガメや外来種のミドリガメです。
まず、ニホンイシガメの代表的な特徴は以下の通りです。
- 甲羅はやや丸みがあり、成長すると盛り上がる
- 甲羅の色は黄褐色〜暗褐色で、自然な斑模様がある
- 甲羅の中央に弱い一本のキール(隆起)が見られることが多い
- 成体でも派手な模様や強い光沢は少ない
一方、クサガメは、
- 甲羅がやや扁平で黒っぽい
- 幼体の頃は黄色い線模様が目立つ
- 成長すると黒化(メラニズム)が起きやすい
といった違いがあります。
また、ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)は、
- 目の後ろの赤い模様
- 明るい緑色の体色(幼体)
といった分かりやすい特徴があり、見分け自体は比較的容易です。
見分けがつかない状態で「保護」や「飼育」を始めてしまうと、法的な扱いや対応が大きく変わる可能性があるため、慎重な判断が必要です。
写真で確認したいニホンイシガメの特徴と識別ポイント
ニホンイシガメの識別では、全体の雰囲気だけでなく、複数のポイントを組み合わせて判断することが重要です。
特に確認したいのは、次のような点です。
- 甲羅の縁がギザギザしていないか
- 甲板の模様が不自然に均一ではないか
- 頭部や首に派手な色彩がないか
ニホンイシガメは、全体的に「地味」で、自然環境に溶け込む色合いをしています。
この地味さこそが、日本の水辺に適応してきた在来種の特徴とも言えます。
ただし、幼体や個体差によって見た目が異なる場合もあり、写真だけで100%断定することは難しいケースもあります。
その場合は、無理に判断せず、専門家や自治体に相談することが安全です。
飼育する場合の基本条件|屋内飼育は可能?必要な設備
ニホンイシガメを飼育する場合、まず理解しておきたいのは、本来は野生環境で生きる在来種であるという点です。
そのうえで、やむを得ない事情や、適法に入手した個体を飼育する場合には、環境に配慮した飼育設備が不可欠となります。
ニホンイシガメは、屋内飼育自体は可能ですが、以下の条件を満たす必要があります。
- 十分な水量を確保できる水槽
- 完全に体を乾かせる陸地スペース
- 紫外線(UVB)を補う照明
- 水温・気温の管理(季節に応じた調整)
特に紫外線は重要で、不足すると
- 甲羅の変形
- 食欲不振
- 代謝性骨疾患
などのリスクが高まります。屋内飼育では、自然光の代替としてUVBライトの設置がほぼ必須と考えたほうがよいでしょう。
また、ニホンイシガメは成長すると想像以上に大きくなります。
幼体用の水槽のままでは、すぐに環境が不十分になるため、将来的なサイズを見据えた設備計画が重要です。
ニホンイシガメ飼育レイアウトの考え方と環境づくり
ニホンイシガメの飼育レイアウトでは、「見た目」よりも安全性と快適性を優先する必要があります。
基本となるレイアウトの考え方は、次の通りです。
- 水中と陸地を明確に分ける
- 陸地は安定していて転倒しない構造にする
- 簡単に登れるスロープを設ける
- 誤飲の恐れがある小石や装飾は避ける
自然に近づけようとして、砂利や流木を多用しすぎると、ケガや誤飲、水質悪化の原因になることがあります。
ニホンイシガメは丈夫な印象がありますが、人工環境ではトラブルが起こりやすいため、シンプルなレイアウトのほうが結果的に安全です。
また、屋外飼育を検討する場合でも、
- 脱走防止
- 外来種との接触防止
- 冬眠管理の難しさ
といった課題があり、初心者にはハードルが高い点も理解しておく必要があります。
ニホンイシガメの飼育は、「飼えるかどうか」だけでなく、最後まで適切な環境を維持できるかが問われる飼育です。
ニホンイシガメの餌|自然下の食性と飼育下での与え方
ニホンイシガメは雑食性のカメで、自然下では環境や成長段階に応じて、さまざまな餌を食べています。
そのため、飼育下でも単一の餌に偏らないことが重要です。
野生下での主な食性は、次のようなものです。
- 水生昆虫や甲殻類
- ミミズや小型の無脊椎動物
- 水草や植物の若芽
特に幼体期は動物性の餌を好み、成長するにつれて植物質も取り入れる傾向があります。
飼育下では、栄養バランスと管理のしやすさから、カメ専用の配合飼料(人工飼料)を主食にするのが基本です。
これに加えて、補助的に
- 乾燥エビ
- 冷凍赤虫
- 小松菜などの葉野菜
を与えることで、食性に近づけることができます。
給餌の頻度は、
- 幼体:毎日〜1日おき
- 成体:2〜3日に1回
が一つの目安です。食べ残しは水質悪化の原因になるため、食べ切れる量を短時間で与えることが大切です。
与えてはいけない餌・注意すべき給餌トラブル
ニホンイシガメの飼育では、「何を与えないか」も非常に重要です。
誤った餌は、健康トラブルや寿命の短縮につながる可能性があります。
与えてはいけない、または注意が必要なものとしては、
- 人間用の加工食品
- 塩分・糖分を含む食材
- 脂肪分の多い肉類
が挙げられます。
また、乾燥エビなど嗜好性の高い餌ばかりを与えると、偏食や栄養不足を招きやすくなります。
食いつきが良くても、主食にはせず、あくまで補助的に使うことが重要です。
食欲が落ちた場合、
- 水温が低すぎないか
- 紫外線が不足していないか
- 環境の変化がなかったか
といった飼育環境をまず確認する必要があります。
餌を変える前に、飼育環境全体を見直す視点が欠かせません。
ニホンイシガメ飼育が問題視される理由と保全の現状
ニホンイシガメの飼育がたびたび問題視される背景には、個体数の減少と生息環境の悪化があります。
かつては身近な水辺で普通に見られたニホンイシガメですが、現在では地域によって生息数が大きく減少しています。
主な要因として挙げられるのは、
- 河川改修や農地整備による生息地の消失
- 外来種(ミドリガメなど)との競合
- 人為的な捕獲や持ち帰り
です。
特に、「飼えるから」「昔は捕まえていたから」という理由での安易な採集は、種全体の減少を加速させる要因になっています。
そのため、法律上は飼育可能な場合があったとしても、行政や専門家の多くは、
野生個体は自然の中で守るべき存在
という立場を明確にしています。
ニホンイシガメの飼育が議論されるのは、「違法か合法か」だけでなく、在来種をどう守るかという視点があるためです。
飼育者としてできるニホンイシガメ保護への向き合い方
もしニホンイシガメと関わる立場になった場合、飼育者として意識したいのは、個体だけでなく種全体への配慮です。
具体的には、
- 野生個体をむやみに捕まえない
- 飼育個体を自然に放さない
- 正しい知識を周囲に伝える
といった行動が、結果として保全につながります。
また、適法に飼育している個体であっても、最後まで責任を持って飼い切る覚悟が不可欠です。
ニホンイシガメは長寿で、数十年生きることも珍しくありません。
「飼えるかどうか」ではなく、
「飼うべきかどうか」
を一度立ち止まって考えることが、ニホンイシガメと正しく向き合う第一歩と言えるでしょう。
まとめ|ニホンイシガメの飼育は禁止ではないが、慎重な判断が必要
ニホンイシガメの飼育は、全国一律で禁止されているわけではありません。
しかし、野生個体の扱い・入手経路・地域のルールによっては、違法となる可能性があるため注意が必要です。
また、法律の問題だけでなく、
- 在来種としての保全
- 生態系への影響
- 長期飼育の責任
といった視点も欠かせません。
ニホンイシガメを見つけたとき、飼育を検討するときは、
**「正しい知識」と「慎重な判断」**をもとに行動することが、結果としてニホンイシガメを守ることにつながります。


