こんにちは!美しい黄褐色の甲羅を持ち、日本の気候にとても強いニホンイシガメ。秋が深まり気温が下がってくると、カメたちは徐々に動きが緩慢になり、いよいよ「冬眠」の季節がやってきます。カメたちの健康な冬越しを毎年祈るような気持ちで見守っている、爬虫類飼育員の僕です。
ニホンイシガメを飼育していると、「ニホンイシガメの冬眠はどうやってさせればいいの?」「安全に冬を越させるための具体的な準備は?」と不安になりますよね。
また、無事に寒い冬を乗り切った後の「冬眠明け」のタイミングや、体力が落ちていて非常にデリケートな時期のお世話の方法についても、正しい知識を持っておくことが命を繋ぐ鍵になります。
今回は、ニホンイシガメを安全に冬眠させるための具体的なステップから、春を迎えた「冬眠明け」のカメの健やかな立ち上げ方、万が一のトラブル対策までを徹底解説します!

日本の冬を乗り切る!ニホンイシガメの冬眠の基本と準備
ニホンイシガメは日本固有種なので、日本の四季に適応した「冬眠(とうみん)」ができるカメです。しかし、飼育下での冬眠を成功させるには、事前の正しい準備が欠かせません。
冬眠できるのは「健康で育った大人のカメ」だけ!
最も重要なのは、すべてのカメが安全に冬眠できるわけではないという点です。 冬眠をさせても良いのは、「甲羅の長さが10cm以上(生後2〜3年以上)で、病気をしておらず、夏の間にエサをたっぷり食べて肉付きが良い健康な個体」だけです。 生まれたばかりの赤ちゃん(幼体・ゼニガメ)や、病気上がりで体力が落ちている個体は、冬眠中に体力が尽きてそのまま死んでしまうリスクが非常に高いため、冬眠させずに室内でヒーターを入れて「加温飼育」で冬を越させてください。
安全なニホンイシガメの冬眠のやり方(水中冬眠)
イシガメは一般的に、水の中でじっとして冬を越す「水中冬眠」を行います。
エサ抜き(10月下旬〜11月)
気温が15度以下になるとカメの消化機能が著しく落ちるため、完全に眠る前の2週間ほどはエサを一切与えず、お腹の中を空っぽにします。胃腸にエサが残ったまま冬眠に入ると、体内でエサが腐ってしまい病気や死亡の原因になります。
冬眠環境のセット
大きめのタライや水槽に、カメの甲羅が完全に浸かる(水深は甲羅の1.5倍〜2倍程度)の水を張ります。水中に落ち葉(クヌギやマジックリーフなど)やシェルターを入れて、カメが身を隠して落ち着けるようにします。
置き場所
水温が1度〜8度程度で安定し、直射日光が当たらない静かな日陰(軒下やガレージなど)に置きます。水が底まで完全に凍りつかないよう、寒冷地では発泡スチロールの箱にタライを入れるなどの防寒対策をしてください。冬眠中は2〜3週間に一度、カメを驚かせないよう静かに新しい水に換えてあげましょう。

命の瀬戸際!冬眠明けの正しい起こし方とお世話
厳しい冬を乗り越え、3月〜4月頃になって気温が15度前後に安定してくると、カメが少しずつ目を覚まして動き始めます。この「冬眠明け」こそ、実は一年の中で最も慎重なお世話が求められる時期です。
冬眠明けのタイミングと水温管理
カメが目を覚まして動き出したからといって、すぐに冬眠前と同じお世話をしてはいけません。 冬眠明け直後のカメは、代謝が下がりきっており、内臓の働きがまだ完全に回復していません。また、免疫力も低下しています。 まずは、日当たりの良い場所に水槽を移動させるか、室内飼育の場合はバスキングライト(保温ランプ)をつけて、カメがしっかりと陸上で体を温められる(甲羅干しができる)環境を整えてあげましょう。体温が上がることで、徐々に内臓が動き出します。
最初のエサやりはとにかく慎重に!
動き始めたからといって、すぐに消化に悪い人工飼料をたくさん与えるのはNGです。 水温が安定し、カメが活発に水槽内を動き回り、飼い主の顔を見てエサを欲しがるような仕草を見せてからエサやりを再開します。最初は水で柔らかくふやかした人工飼料や、大好物の乾燥エビなどを「ごく少量」から与え始め、数日かけて徐々に元の量に戻していきます。
冬眠明けのトラブルに注意
もし、冬眠明けにカメの目が白く濁って開かない、皮膚に白いワタのようなものが付いている(水カビ病)、あるいは鼻水を流して苦しそうにしているといった異常が見られた場合は、冬眠中の体力低下による病気の可能性が高いです。すぐに水温を25度前後に保温し、爬虫類を専門的に診られる動物病院へ連れて行きましょう。

まとめ
ニホンイシガメの冬眠について、大切なポイントをまとめました!
- ニホンイシガメの冬眠ができるのは、甲羅10cm以上で健康な大人のカメだけ。
- 赤ちゃんや体力の落ちている個体は、冬眠させずに室内でヒーターを入れて飼育する。
- 冬眠前の2週間は必ず「エサ抜き」をして、お腹の中を完全に空っぽにする。
- 直射日光の当たらない1〜8度前後の静かな場所で「水中冬眠」をさせる。
- 春になり、カメが動き出す「冬眠明け」の時期が最もデリケートで注意が必要。
- 冬眠明けはまず日光浴(加温)で体を温めさせ、消化の良いエサを少量ずつ与えて立ち上げる。
- 目が開かない、皮膚が白いなどの病気のサインがあれば、すぐに保温して動物病院へ。
冬眠は、カメにとって自然なバイオリズムですが、飼育下では飼い主さんの徹底した管理と優しさが成功の鍵を握ります。 無事に「冬眠明け」を迎えて、春のあたたかい太陽の下で嬉しそうに甲羅を乾かすカメの姿を見たときの安心感と喜びはひとしおです。正しい知識を持って、安全な冬越しをサポートしてあげてくださいね!

