ミドリガメはペットとして人気のあるカメですが、「どれくらい生きるの?」「年齢を見分ける方法は?」と気になる方も多いのではないでしょうか。実は、ミドリガメの寿命は意外と長く、適切に飼育すれば20年以上生きることもあります。
しかし、現在はミドリガメの飼育が禁止されるという話もあり、「いつから禁止なの?」「なぜ禁止になったの?」と不安に感じている人もいるでしょう。
本記事では、ミドリガメの年齢や寿命、長生きさせるための飼育ポイント、さらには飼育禁止の理由や今後の影響まで詳しく解説します。さらに、クサガメやゼニガメとの寿命の違い、ウミガメの驚きの寿命についても紹介!
ミドリガメを飼っている方、これから飼おうと考えている方はぜひ参考にしてください。
ミドリガメの年齢と寿命
ミドリガメの平均寿命はどれくらい?
ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)は、適切な環境で飼育すれば20〜30年ほど生きるとされています。しかし、野生では天敵や環境の影響を受けやすく、寿命は10〜20年程度とやや短くなります。
また、水質管理やエサのバランスが悪いと寿命が縮むこともあり、飼育下でも10年ほどで亡くなってしまうケースもあります。長生きさせるためには、適切な環境を整えることが重要です。
野生と飼育下での寿命の違い
ミドリガメの寿命は、飼育環境と野生環境で大きく異なります。
環境 | 平均寿命 |
---|---|
野生 | 約10〜20年 |
飼育下 | 約20〜30年 |
野生のミドリガメは、外敵(鳥や魚など)や病気、過酷な環境の影響を受けやすく、寿命が短くなりがちです。一方、飼育下では外敵の心配がなく、適切な水温管理や栄養バランスの取れたエサを与えることで、長生きしやすくなります。
ただし、水質管理が不十分だったり、栄養が偏ったりすると、飼育下でも短命になってしまうため注意が必要です。
ミドリガメの寿命ギネス記録とは?
ミドリガメの最長寿記録は約40年とされています。個体差が大きいため、30年以上生きるケースも珍しくありません。
一方で、ミドリガメよりも長寿のカメとして有名なのがウミガメやガラパゴスゾウガメです。特にガラパゴスゾウガメは100年以上生きることがあり、ウミガメも300年生きると言われることがあります。しかし、ウミガメの寿命300年という話は科学的な証拠がなく、実際には約70〜100年程度と考えられています。
ミドリガメも適切な環境で飼育すれば30年以上生きる可能性があるため、終生飼育を前提に責任を持ってお世話することが大切です。
ミドリガメの成長と年齢の見分け方
ミドリガメの大きさと年齢の関係
ミドリガメの成長スピードは、飼育環境やエサの量によって異なりますが、一般的には以下のようなサイズで成長します。
年齢 | 甲長(甲羅の長さ) |
---|---|
0歳(孵化直後) | 約3〜4cm |
1歳 | 約5〜7cm |
3歳 | 約10〜12cm |
5歳 | 約12〜15cm |
10歳以上 | 15〜25cm以上 |
成長が早い個体では、2〜3年で15cmを超えることもあります。特に、エサを多く与えすぎると急激に大きくなることがあるため、成長に合わせた適切な給餌が重要です。
甲羅の成長リングで年齢を推定する方法
ミドリガメの年齢を見分ける方法のひとつに、甲羅の成長リング(成長線)を数える方法があります。
成長リングとは?
- ミドリガメの甲羅の一枚一枚の甲板には、年輪のようなリングが形成されます。
- このリングの数を数えることで、おおよその年齢を推測することが可能です。
ただし、成長スピードは飼育環境やエサの質によって異なるため、リングの数と実際の年齢が完全に一致するわけではありません。特に、飼育環境で成長が早い個体は、リングの数が多くなることがあります。
クサガメやゼニガメと比べた成長速度
ミドリガメとよく比較されるカメに、クサガメや**ゼニガメ(ニホンイシガメの幼体)**がいます。
カメの種類 | 寿命 | 成長スピード | 最大サイズ |
---|---|---|---|
ミドリガメ | 約20〜30年 | 早い | 20〜30cm |
クサガメ | 約30〜40年 | やや遅い | 20〜25cm |
ゼニガメ(ニホンイシガメ) | 約40〜50年 | 遅い | 15〜20cm |
- ミドリガメは成長が早く、大きくなるため、飼育スペースをしっかり確保する必要があります。
- クサガメはミドリガメよりも成長が穏やかで、長寿な個体も多いです。
- ゼニガメ(ニホンイシガメ)は最も成長が遅く、小柄なカメなので、初心者向きといわれることもあります。
カメの種類によって成長スピードや寿命が異なるため、飼育する前にそれぞれの特性を理解しておくことが大切です。
ミドリガメの飼育と長生きのコツ
長寿のための適切な飼育環境とは?
ミドリガメを長生きさせるためには、適切な飼育環境を整えることが重要です。以下のポイントを押さえましょう。
① 水槽の大きさ
ミドリガメは成長すると最大30cmほどになるため、最低でも90cm以上の水槽が必要です。
- 幼体(5〜10cm):60cm水槽
- 成体(15cm以上):90cm以上の水槽
- 複数飼育する場合:120cm以上推奨
狭い水槽ではストレスが溜まり、健康を害することがあります。
② 水質管理
- 水を清潔に保つためにろ過フィルターを設置する
- 週に1〜2回の水換えを行い、病気を防ぐ
- 水温は**25〜28℃**をキープ(冬はヒーターを使用)
水質の悪化は病気の原因になるため、定期的な掃除が必須です。
③ 陸地とバスキングライトの設置
ミドリガメは日光浴(バスキング)をすることで、カルシウムを吸収し甲羅を健康に保ちます。
- **バスキングスポット(陸地)**を設置する
- UVBライトを設置し、甲羅の成長をサポート
紫外線が不足すると、**くる病(甲羅が柔らかくなる病気)**になることがあるので注意しましょう。
健康を維持するためのエサと栄養管理
ミドリガメの健康を維持するためには、バランスの取れた食事が不可欠です。
① 基本のエサ
主食として、市販のカメ用フードを与えましょう。成長段階に応じて、以下のように調整します。
年齢 | エサの頻度 | ポイント |
---|---|---|
〜1歳(幼体) | 毎日 | 高タンパクのエサを中心に |
1〜5歳(成長期) | 2日に1回 | バランスの取れた食事 |
5歳以上(成体) | 3日に1回 | カロリー過多に注意 |
② 野菜や生き餌もプラス
市販のフードだけでなく、以下の食材も適度に与えると良いでしょう。
- 野菜類(小松菜、チンゲンサイ、レタスなど)
- 小魚(メダカ、アカムシなど)
- 甲殻類(エビ、カニの殻など) → カルシウム補給に最適
偏った食事は栄養不足や肥満の原因になるため、バランスよく与えることが重要です。
病気を防ぐためのポイント
ミドリガメは適切に管理すれば丈夫な生き物ですが、環境が悪いと病気になりやすくなります。
① よくある病気と予防策
病気名 | 症状 | 原因 | 予防策 |
---|---|---|---|
くる病 | 甲羅が柔らかくなる | 紫外線不足 | UVBライトを設置する |
甲羅腐敗 | 甲羅が白く変色し、剥がれる | 水質悪化 | ろ過装置を使用し、定期的に水換えを行う |
肺炎 | 口を開けて呼吸する、食欲低下 | 水温低下 | ヒーターで水温を25〜28℃に保つ |
目の腫れ | 目が腫れ、開かなくなる | ビタミンA不足 | バランスの良い食事を与える |
② 病気を防ぐためのチェックリスト
✅ 水質を清潔に保つ(週1〜2回の水換え)
✅ 適切な温度管理(25〜28℃)
✅ 紫外線ライトを適切に使用
✅ 栄養バランスの取れた食事を与える
病気の兆候を見つけたら、すぐに動物病院で診てもらうことが大切です。特に肺炎や甲羅腐敗は悪化すると命に関わるため、注意しましょう。
ミドリガメの飼育禁止問題と今後の影響
ミドリガメの飼育禁止はいつから?
ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)は、2023年6月1日に外来生物法の「条件付特定外来生物」に指定されました。この規制により、以下のルールが適用されています。
- 新たな販売・譲渡・輸入・野外放出が禁止(2023年6月1日から)
- すでに飼育している個体は引き続き飼育可能(終生飼養が条件)
つまり、新しくミドリガメを迎えることはできませんが、現在飼っている人はそのまま飼い続けることができます。
なぜミドリガメの飼育が禁止されたのか?
ミドリガメの飼育が規制された理由は、日本の生態系への影響が大きいためです。
① 生態系への影響
ミドリガメは繁殖力が強く、日本各地の川や池に放たれた個体が野生化し、在来種を脅かす存在になっています。特に、ゼニガメ(ニホンイシガメ)やクサガメなどの日本固有種と競合し、数を減らしてしまう原因になっています。
② 繁殖力の強さ
ミドリガメは1回の産卵で10〜30個の卵を産むことがあり、野生化すると爆発的に増える可能性があります。
③ 飼育放棄の増加
- かつてミドリガメは縁日やペットショップで安価に販売されていた
- しかし、大きく成長するため飼育しきれず放棄されるケースが多発
- 野外に放たれた個体が環境問題を引き起こす
こうした背景から、日本政府はミドリガメの流通を規制することを決定しました。
既に飼っているミドリガメはどうすればいい?
現在、すでにミドリガメを飼っている人は、そのまま飼育を続けることができます。 しかし、逃がしたり捨てたりすることは法律で禁止されており、違反すると罰則を受ける可能性があります。
① 飼育を続ける場合の注意点
- 終生飼養が義務付けられている(最後まで責任を持って飼う)
- 繁殖を防ぐために、オスとメスを分けるか、産卵対策をする
- 池や川などに絶対に放流しない
② どうしても飼えなくなった場合は?
ミドリガメを飼えなくなった場合、自治体や動物保護団体に相談するのがベストです。ただし、すべての施設で引き取りを行っているわけではないため、事前に確認する必要があります。
✅ 飼えなくなったら…
- 家族や知人に引き取ってもらえないか検討する(譲渡は禁止されていない)
- 地元の自治体や動物保護団体に相談する(引き取り可能か要確認)
- 無責任な放流は絶対にしない(法律違反になるため注意)
ミドリガメは長生きするカメなので、飼い始めたら最後まで責任を持って世話をすることが重要です。
他のカメの寿命との比較
クサガメ・ゼニガメ・ミシシッピアカミミガメの寿命比較
カメの寿命は種類によって大きく異なります。ここでは、ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)と、よく比較される**クサガメ・ゼニガメ(ニホンイシガメ)**の寿命を比較してみましょう。
カメの種類 | 平均寿命 | 最大寿命 | 特徴 |
---|---|---|---|
ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ) | 20〜30年 | 40年以上 | 成長が早く、最大30cmほどになる |
クサガメ | 30〜40年 | 50年以上 | 日本に生息する在来種で、水陸両方で活動する |
ゼニガメ(ニホンイシガメ) | 40〜50年 | 60年以上 | ゆっくり成長し、小型(最大20cm) |
① ミドリガメ vs クサガメ vs ゼニガメの違い
- ミドリガメは外来種で、日本の生態系に影響を与えるため飼育が制限されている。成長が早く、大型になるため飼育スペースが必要。
- クサガメは日本在来種で、丈夫で長生きしやすい。比較的おとなしい性格。
- **ゼニガメ(ニホンイシガメ)**は日本固有のカメで、最も寿命が長い。成長が遅く、小型のため飼いやすいが、価格が高め。
② どのカメが飼いやすい?
- 初心者向け:クサガメ(丈夫で長寿、性格もおとなしい)
- 中級者向け:ゼニガメ(ニホンイシガメ)(飼育しやすいが、価格が高め)
- 上級者向け:ミドリガメ(終生飼育が義務付けられているため)
クサガメやゼニガメは在来種であり、飼育禁止の規制がないため、今からカメを飼いたい場合はこれらの種類を選ぶのがおすすめです。
ウミガメは本当に300年生きるのか?
「ウミガメは300年生きる」と言われることがありますが、これは科学的に証明された事実ではありません。 実際には、ウミガメの平均寿命は70〜100年程度とされています。
① ウミガメの寿命と種類ごとの違い
ウミガメの種類 | 平均寿命 | 特徴 |
---|---|---|
アオウミガメ | 約80年 | 最大1.5m、主に海藻を食べる |
アカウミガメ | 約70年 | 雑食性で甲羅が赤みがかっている |
タイマイ | 約50年 | べっ甲の原料となる美しい甲羅を持つ |
オサガメ | 約100年 | 世界最大のウミガメで最大2mを超える |
② 「ウミガメ300年説」はなぜ広まった?
- 昔の文献や民間伝承で長寿の生き物として語られた
- 陸ガメ(ガラパゴスゾウガメなど)が100年以上生きるため、混同された可能性
- 実際に寿命が100年を超える個体もいるため、誇張された
300年生きるというのは誇張された話ですが、ウミガメは非常に長生きする生き物であることに変わりはありません。
まとめ:ミドリガメはどれくらい長生きするのか?
ミドリガメの寿命は20〜30年が一般的ですが、適切な飼育環境を整えれば40年以上生きることも可能です。他のカメと比較すると、クサガメやゼニガメの方が長寿で、ウミガメは100年以上生きる可能性があることがわかりました。
どのカメも長生きするため、「終生飼養」の覚悟を持って飼育することが大切です。ミドリガメをはじめ、どの種類のカメを飼う場合でも、責任を持ってお世話をしましょう。