クサガメを飼育していると、オスがメスに向かって首を振ったり、頭突きをしたりする姿を目にすることがあります。これらは一見すると威嚇のように見えますが、実は繁殖期特有の求愛行動である場合も少なくありません。とくに「首を振る」仕草は、クサガメのオスがメスに好意を示す典型的な行動として知られています。
しかし、同じ首振りや頭突きでも、相手がオス同士なら縄張り争いや威嚇行動に変わることもあり、見分け方を知っておくことは飼育者にとって重要です。本記事では、クサガメの求愛行動の特徴を解説しながら、「首振り」「頭突き」「威嚇」との違いをわかりやすく整理します。繁殖を考えている方はもちろん、日常的な飼育でクサガメの行動を理解したい方にも役立つ内容です。
クサガメの求愛行動の基本
クサガメの繁殖期と行動の特徴
クサガメの繁殖期は、一般的に春から初夏(4月〜6月頃)、または秋口(9月〜10月頃)に訪れることが多いとされています。気温や水温が安定し、活動が活発になる時期にオスはメスへ積極的にアプローチを始めます。
繁殖期のオスは普段よりも行動が活発になり、首を振る・頭突きをする・追いかけるといった仕草を見せるようになります。これらの行動はすべて、繁殖のためにメスの関心を引こうとする「求愛行動」の一環です。ただし、一見すると威嚇のように見えるため、飼育初心者は驚いてしまうことも少なくありません。
オスがメスに見せる典型的な求愛行動
クサガメのオスがメスにアプローチする際に見られる典型的な求愛行動には、次のようなものがあります。
- 首を振る(ヘッドボビング)
小刻みに頭を上下させる動き。オスがメスの正面に立ち、何度も首を振る姿は求愛の代表的な仕草です。 - 頭突き
オスがメスの甲羅に軽く頭をぶつけることがあります。攻撃ではなく、メスの注意を引きつけるための行動です。 - 追いかける行動
水槽内でオスがメスをしつこく追いかけることもあります。これも交尾のチャンスを狙った求愛の一環です。
これらはすべて「繁殖したい」という本能に基づく行動であり、メスに対して積極的にアピールするサインです。ただし、強引すぎる場合はメスがストレスを感じてしまうため、飼育環境では注意深く観察し、必要に応じて隔離することも大切です。
首を振る行動の意味
求愛時に見られる首振りのパターン
クサガメのオスが見せる代表的な求愛行動のひとつが、首を上下に振る「ヘッドボビング」です。繁殖期になると、オスはメスの前に回り込み、何度も小刻みに首を振ることで「自分の存在」を強調します。これはクサガメに限らず、多くのカメの仲間に見られる求愛サインです。
求愛時の首振りにはいくつかの特徴があります。
- スピードが速く、何度も繰り返す
- メスの正面に立って行うことが多い
- 交尾前に見られる前兆行動である
このような仕草が見られた場合、オスがメスに対して強い繁殖意欲を示していると考えられます。飼育下で繁殖を目指すなら、この行動を確認できるかどうかは大きなポイントです。
威嚇としての首振りとの違い
一方で、首を振る行動は必ずしも求愛だけではありません。オス同士が対面した際にも、首を大きく振って相手を威嚇することがあります。これは縄張り争いや力関係を示すための行動です。
求愛と威嚇を見分けるポイントは以下の通りです。
- 相手がメス → 求愛行動である可能性が高い
- 相手がオス → 威嚇や縄張り争いのサイン
- 振り方
- 求愛:小刻みでリズミカルな動き
- 威嚇:力強く、大きな動作が多い
つまり、同じ「首を振る」でも、相手の性別や状況によって意味が変わるのがクサガメの特徴です。飼育者は観察の際に「どの相手に対して行っているのか」を意識することで、行動の本当の意味を見極めやすくなります。
クサガメの頭突き行動
オスがメスに頭突きをする理由
クサガメのオスは、繁殖期になるとメスに対して軽く頭突きをする行動を見せることがあります。これは攻撃ではなく、メスの注意を引き「自分と交尾しよう」という意思を伝える求愛行動の一種です。
典型的な流れとしては、
- 首を振る(ヘッドボビング)
- メスの周りを泳いで追いかける
- 甲羅や頭部に軽い頭突きをする
という行動が連続して見られることが多いです。
この頭突きは「強く押しのける」というよりは「コツンと当てる」程度の動きであり、メスを傷つけるものではありません。ただし、オスが複数匹いる環境では、メスがしつこく追われて疲弊してしまうこともあるため、飼育下では様子をよく観察することが大切です。
威嚇や縄張り争いとしての頭突き
頭突きは求愛以外にも、威嚇や縄張り争いとして使われることがあります。特にオス同士が同じ水槽にいる場合、互いに頭突きを繰り返して相手を押しのけようとすることがあります。
この場合の特徴は以下の通りです。
- 相手がオス同士である
- 強い力で甲羅にぶつかり合う
- 一方が劣勢になると逃げる
求愛時の頭突きと異なり、こちらは明らかに力比べの意味合いが強く、執拗に続く場合は怪我につながることもあります。飼育環境ではオス同士を同居させるとストレスや争いの原因になりやすいため、繁殖を考えていない場合は分けて飼育するのが安心です。
求愛行動と威嚇行動の見分け方
相手がメスかオスかによる行動の違い
クサガメの「首を振る」「頭突き」といった行動は、相手の性別によって意味が大きく変わるのが特徴です。
- 相手がメスの場合
→ 首振りや頭突きは、ほとんどが求愛行動。オスはメスの注意を引き、交尾の機会をうかがっています。 - 相手がオスの場合
→ 首振りや頭突きは、縄張り争いや威嚇行動。相手を追い払う、優位性を示すといった意味合いが強くなります。
つまり「同じ行動でも、相手が誰か」で意味が正反対になるのがポイントです。
飼育下で観察する際の注意点
飼育者が行動を見分けるためには、次の点に注目するのがおすすめです。
- 行動の強さ
- 求愛 → 小刻みな首振り、軽い頭突き
- 威嚇 → 大きく力強い首振り、強い頭突き
- 行動の相手
- メスに対して → 求愛サイン
- オスに対して → 威嚇や喧嘩
- 頻度やしつこさ
- 求愛 → 一定時間で収まることが多い
- 威嚇 → 相手が逃げるまで続くことが多い
特に飼育下では、メスがオスに追いかけ回されてストレスを抱えるケースや、オス同士が喧嘩して怪我をするケースがあるため、観察して異常が見られたら隔離や水槽の分け方を工夫することが大切です。
まとめ:クサガメの行動を理解して繁殖や飼育に活かそう
クサガメの「首振り」や「頭突き」といった仕草は、一見すると威嚇や攻撃のように思えるかもしれません。しかし、繁殖期のオスがメスに見せる場合は、典型的な求愛行動であることが多いです。
- 首を振る(ヘッドボビング) → メスへのアプローチ、またはオス同士の威嚇
- 頭突き → メスへの求愛、または縄張り争い
- 相手の性別や状況によって意味が変わる
飼育下では、こうした行動を正しく理解することで、繁殖を狙う場合はタイミングを逃さずに活かすことができます。一方で、メスへのしつこいアプローチやオス同士の喧嘩はストレスや怪我の原因になるため、観察を怠らず必要に応じて隔離する工夫が大切です。
クサガメの行動をよく理解することは、健康的な飼育環境を保ち、繁殖を成功させるための第一歩です。首振りや頭突きといった仕草を単なる「不思議な行動」として片付けず、求愛か威嚇かを見極めて対応することが、クサガメとのより良い関係につながるでしょう。


